なぜ?愛する親へ【介護の暴力】
【介護暴力】 家族の背後にある負担
親を介護することは、本当に大変ですよね。
愛情いっぱいに、親の介護をしていても予期せぬ事件が起こります。
中には暴力という深刻なものも含まれます。
「あたし、お母さんを殴ってしまったのよ」
言いながらがっくり膝をついて、両手で顔を塞ぎ、肩をヒックヒックさせながら泣き崩れた、娘さん。
あなたはどのように声をかけてあげられますか。
「一人で抱え込むからそうなるんだ!」「専門職に相談したほうがいいよ!」
どんな言葉をかけるのでしょうか。
その娘さん、どれだけの勇気をもって打ち明けたと思いますか?
なぜ、親を愛していた介護者が暴力をしてしまったのか…。
そんな時は
周りはその人を攻めちゃダメ。
だって、一生懸命に親の介護をしている証拠なんです。
実は、娘さんのように、あなたもなるかもしれません。
みんなが起こり得るのです。
今回も27年間の在宅介護から、独断と偏見で語ってきます。
介護暴力が起こりやすいタイミング、発動させない予防策、エピソードを交えながらお話しします。
息子が多い家族介護の暴力
家庭で介護の虐待、令和4年の厚労省の調査によると、被害者の割合は約6.8%から10%、第一位が身体的な虐待、第二位が経済的虐待、三位精神的虐待と続きます。
ご存知の通り身内によるものが圧倒的です。その中でも“息子”の虐待が多いのです。
では、なぜ息子が多いのか?
まず、介助や介護になれていない。そして実の親。
また男性という個体と男性的な脳の働きが原因かもしれません。
男性は「親の介護」=「仕事」と捉える傾向がつよいです。
だから親の介護でうまくいかなくなると、余計に腹が立ってきて
親だからこそ、また癪(しゃく)に触ります。
話がそれますが
「介護資格養成講座」で講師をしている時に思うこと
女性に比べて男性は
・人に触れるのに、ギーコン。
(ロボットか)
・顔を拭くタオルを、ギュギュギュギュー。
(カラッカラ・タオルの完成)。
でも、一生懸命で、って感じです。
上手くいかないことだらけ。
【介護暴力】 家族が起こりやすいタ・イ・ミ・ン・グ
介護する家族が暴力につながるタイミング3つをご紹介します。
1: 介護の負担が増えたとき
介護の負担が増えると、ストレスや焦りが高まり、感情が不安定になることがあります。特に、身体的な介護が増えたりしたら暴力が起こりやすくなります。
例えば、新しいオムツの交換が終わりかけた時にジョーっと出てしまい、服からシーツまで濡らしてしまい全部交換。
2: コミュニケーションが困難なとき
介護される親の言葉が出なかったり、寝たきりでコミュニケーションが難しくこちらのことを理解してくれていないと感じたとき。
例えば、夜中に「あ~う~」という限定発語で家族を呼ぶ、足をバタバタさせて呼ぶケースもあります。家族のことはお構いなし?と感じたとときです。
キツイのは手を払うなど、暴力的コミュニケーションをされたとき。
3:過去の親子関係を思い出したとき
過去に殴られたり言葉の暴力を振るわれたり、他人には言えない辛い経験のあるご子息は、優しい心をもっているためか自己犠牲が過度になりやすいのです。
頑張り過ぎてしますと、頭の中が真っ白になり虐待をふるってしまうことがあります。
それでは、次は暴力を発動させない予防策についてお話しします。
【介護暴力】 発動させない予防策
充実した介護生活を送るためのヒントをご紹介します。
1: ちゃんとした専門職に相談
さきに述べたオムツ交換のときは良くある話です。排泄時なにが起こるかヘルパー(介護福祉士)や看護師(准看護師含)・ケアマネ(相談員あがりはちょっと厳しいかな)は対応を知っています。相談すれば具体的に手順を教えてくれます。
2: ストレス管理~日記(メモ)をつける~
自分の気持ちを素直にノートに書くことです。
具体的な内容は…ぶっちゃけです。ここではご紹介できませんが、吐く(書く)!人に言えない事を吐くいてもOK!気づいたこともOK!毎日でなくてもいいのね。
注意点!だれにも見せない、だれのも見つからないところに隠しておく。
3: 信用・信頼できる人
1人でいいのです。それは、パートナーでも身内でも友人でもケアマネでも訪問看護師でも訪問ヘルパーでも誰でもいいのです。気配りや遠慮しなくていい人、つまり気が置けない人を側おきましょう。たわいのない話をしているだけでも、あなたの気持ちが落ち着くはずです。
以上が、介護暴力を発動させない予防策でした。
心が限界を叫んだ、静かな夜
ほたるが静かに行き交う夜。1階のトイレでガタガタっと音がしました。
飛び起きて2階から行ってみると、そこには認知症の母が便器の前で立ちすくんでいました。駆け寄った足の裏側に感じるあたたかい感触。
尿、母の失禁です。
いつものようにリハパン交換をしようとしたら、
母は私の手をパシーンと叩いて
「何をするの!やめてー!」と大声で叫ぶ母
交換して床にしたたり落ちたモノを処理するのは私しかいません。
もう我慢の限界、怒り爆発。
「なにが!やめてじゃ!」
新しいパンツを投げつけていました。そして勢い余って花瓶にぶつかり
花瓶は“ガチャーん”と床に落ちて砕け散りました。
その音で我に返った私。
母は恐怖でガタガタと震えていたのです。
私は自分の行動に驚き、後悔と怒り、悲しみが入り混じる感情に苛まれました。心は、床一面に砕けた散ったガラスと同じ…。
やばい、これから母に暴力を振るってしまうかも。
今度は私がガタガタ震えはじめたのでした。
ケアマネは幼馴染で何でも言い合える中、夜の出来事を話しました。
(マジヤバの場合、ケアマネ判断・連携で緊急ショートステイへ即)
ショートステイで母を預かってもらえることになり、
母と距離おくことで、自分の生活を見つめ直す良い機会を得ました。
このまま、仕事と介護両立しているとどちらもダメになったかもしれません。
この夜出来事は「限界が来た。」という心の叫びだったのです。
あなたの人生はもっとも大切
親の介護をまじめにしているからこそ、心の葛藤や悩みストレスが起こります。
当然のことです。みんな同じです。
だれもが、起こり得ることかもしれません。
しかし、回避する方法や予防策はあります。
心が詰まる前に予防策
・ちゃんとした専門家に相談。
・ストレス管理法で発散。
・信用・信頼できる人を側におく。
自分らしかぬ行動を起こしてしまったとき、
休憩が必要なときです。
今回は家族の介護で暴力をしないようにする予防策についてお話ししました。またエピソードでは現実起きた時の対処についてお話ししました。
いかがでしたでしょうか。
最後になりましたが、
親の介護も大切ですが、あなたの自身の生活や健康はもっとも大切です。
だって、あなたが倒れてしまったら、親の介護もままなりませんからね。
少しでもお役に立てれば幸いです。