おやの介護の看取りかた【看取りの場所選び】
~看取りの場所、病院・自宅・施設~
人生の最期の時間を過ごす場所は、病院?自宅?施設?
本当に迷います。
ネット記事を読んでいると、介護になる前にまだ親が元気なうちに今決めなければいけないの?
と思います。確かに在宅介護、27年間を振り返ってみれば一理あります。
でもね…
どの段階やターニングポイントを知らずして話をストレートにもっていくのは危険なのです。
なぜなら、死をまだ意識していないからです。いわゆるご本人とご家族の死生観です。
サイコパス息子などだったら、
「おふくろ、最後どこで死にたい?」って、心にザックザックと踏み込んでいけるでしょうし、そんなご家族もあるかもしれません。
それは、それでいいですし、この記事は読まなくてもOKです。
それでは3つの場所について
どこが良いのでしょうか!?
まず、今回は、
病院と自宅と施設の介護について整理していただくために説明し
“かいごや“エピソードもお話しいていきます。
最期を迎える3つの場所
命の最後、人生の看取りを行える場所は、病院などの「医療機関」、自宅「在宅」、老人ホームなどの「介護施設」の3場所です。
ちなみに、厚生労働省「令和3年・人口動態統計」によると、医療機関約70%、自宅・介護施設でそれぞれ約10%の方がご逝去されています。
それぞれの場所の良い面についてお話しいたします。
1,病院ケース
病院では、様々な形態がありますが、高齢者の看取りを主に行う所としては、療養型病棟等があげられます。自力で痰が出せなくなってしまうので痰吸引、食事が口から取れなくなってしまうため等に対して医療行為を受けることができます。異変に早く気付いてもらえるので急変時に対して安心感が得られます。
2,自宅ケース
自宅(在宅)では、住み慣れた環境で他人に気兼ねせずに過ごすことができます。最後までそばに居ることができることは、悔いの残らない介護の方法の一つです。また、医師の訪問、看護師の訪問、ヘルパーオムツ交換の巡回なども24時間活用できます。医師の指示では点滴などさまざまな医療サービスも受けられます。そのため、時間の組み方によっては、ゆっくり外出することも可能です。
3,施設ケース
施設は日々の身体の介護や生活の援助をスタッフがすべて行ってくれるので、家族の負担は大きく軽減されます。安心してご家族はご自分の日常リズムで過ごすことができます。
入所するときには、介護される側の利用者にとっては、自由度の高い介護施設や逆の施設もあります。また、看取りを望んでいるのであれば、看取りができる施設を選び(確認)しご自分にあった介護施設が選べます。
気持ちはいつも揺らぐ!?
元気な時には、最期をどのように迎えたいかという話はあまりしないでしょう。
なぜなら、日本では「死」についてオープンに話すことは不謹慎とされる文化が土壌にあることがあります。親御さんに話しても「縁起でもない」と言われることもあるでしょう。
でも、いざその時を迎えると、
・お母さんはこうして欲しかったはず…
・お母さんをこうしてあげたい…
・親孝行をしなきゃ…
その思いが、みんなそれぞれ家族で混乱します。
たとえ、話し合って決めていたとしても、気持ちは変化し、揺らぎます。
ご家族は、何度も『やっぱり、かわいそう』とか『しんどくてやり切れない』と、選択に躊躇するかもしれません。
どんなご家族でも、心が揺れ動くことは当たり前なのです。
看取りの葛藤
施設での話です。
ハル子さん88歳、長女の顔も良く分からなくなり、声掛けにたいして返答がなくなり、顔の表情も薄くなってきました。食事も水も口からの摂取出来なくなりはじめました。そんななか、痰がからんで肺炎の恐れもが出てきたため3から4時間おきに鼻から管を入れて、看護師による痰吸引を開始。
長女と看取りの具体的なカタチの話がはじまります。長女の口からはハル子さんの人には言えない苦労と苦悩の日々のエピソードが語られはじめました。
窓を叩く雨の音にかき消されやっと聞き取れる声でした。
『もうお母さんは…十分頑張って生きてくれたから…。針を入れたり、鼻から嫌がる痰吸引のために管を入れたり、無理をさせたくない』
長女は窓の外をみながら、ハンカチをグッと握りしめて
『母の大好きな父と過ごさせたいので、自宅に連れて帰って最期を迎えます!』と。
自宅に戻るために、自宅での看取りの環境を整える準備を始めました。自宅にもどる間、長女がハルコさんのそばにいられるように介護施設に泊まれるようにしてもらいました。
いよいよ明日から自宅ね。
となってきたころ急変し亡くなられてしまったのです。
後日施設を訪ねてくれた、長女とハル子さんの夫は
泣き笑いしながら
『いっぱい考えたけど…。考え切ったね』
緑がかおる風のように、介護施設の職員に挨拶をして去っていかれました。
親の幸せ
まず今回は、病院、自宅、施設での最期を迎える3つの場所についてお話ししてきました。
そして、エピソードも少しお話しさせて頂きました。
いかがでしたか。
看取りの場所、その時々によって変わります。
心の動きや行動は変わって当然です。
実は、親にとっては大切な家族が高齢になった自分に対し、気持ちを傾けるだけでもいいんです。嬉しくもあり幸せを感じてくれます。
親の気持ちは、いつまでもあなたは子供なんです。
想いは、あなたに幸せになってほしいと願っています。
いつまでも、親は親なのです。
外野が何と言おうが、
どこに落ち着いたとしても最後の場所、看取りの場所の選択は間違ってはいません。
この記事で少しでも、介護に対して気持ちの負担が軽くなれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。